2月14日(土)福岡市市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)にて、アンジェルマン症候群
(AS)研究の第一人者である、名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野
齊藤伸治先生をお招きし、「アンジェルマン症候群研究の現状と展望」というテーマで
ご講演いただきました。
なんと九州に研究をされている先生をお招きするのは初めてのことで、全国から20家族
38名もの皆さんが、あいにくの天気にも関わらず集まってくださり、大変盛り上がりま
した。
今回、私たちの子供たちが抱えるこの疾患について、原因の基礎的な部分から最新の治療
研究まで、希望の持てるお話をたくさん伺いました。
その内容を一部、簡単ではありますが共有できたらと思います。
●なぜ症状が起こるのか?
私たちの体には、お父さん由来とお母さん由来の遺伝子がセットでありますが、脳の神
経細胞ではお母さん由来の『UBE3A』遺伝子だけが働く仕組みになっています。
しかしASではこの「お母さん由来の遺伝子」が欠けていたり、働かなかったりします。
その結果、脳内の神経伝達がスムーズにいかなくなったり、運動や認知の障害などAS特
有の楽しそうな表情に繋がると考えられています。
(染色体についての話も、非常に有益な知見となりました!)
●世界中で進む「根本治療」への挑戦
これまでは症状を抑える対症療法が中心でしたが、現在は「遺伝子そのものに働きかけ
る治療の研究が飛躍的に進んでいるとのことです。
通常お父さん由来のUBE3A遺伝子は実は脳の中で眠っている(ゲノムインプリティン
グ)状態です。これを人工的な薬(ASO:アンチセンス核酸)で呼び起こし、働かせると
いう画期的な試みです!
アメリカではすでに臨床試験が始まっていますが、日本でも大阪や名古屋札幌などで
治験が行われたそうです。
ウルトラジェニックス開発中の治験薬GTX-102(ASO)は脳に直接作用させる必要があ
るため、ルンバール(腰椎穿刺・髄腔内投与)によって年に3~4回注射を行い3~4ヶ
月、全般的な認知の改善や睡眠の質が上がるなどの効果が認められたといった前向きな結
果を聞くことができました。
また、ウイルスベクターを用いた治療や、CRISPR /Cas9技術といった最新のゲノム編集
技術を使った研究も進められているとの事です。
以上を分かりやすく「電球」に例えてみます。
アンジェルマン症候群の状態
・お母さんの電球→本来点くはずなのに、電球が割れていたりフィラメントが切れていた
りして点かない(=疾患の原因)
・お父さんの電球→電球自体は新品でピカピカなのに、なぜか「お父さん専用のストッパー
」が常にスイッチをオフにしているので点かない(=体の元々の状態)
お母さんの遺伝子を治すのは難しいけれど、そこにあるのに眠っているお父さんの遺伝
子を活用しよう!というのが治療研究ASOの部分になります。
(私なりの解釈になるので、もし間違っていたらご指南ください)
3時間という限られた時間でしたが、先生の長年の臨床経験と最新の研究に基づいたお話
はとても興味深く、皆さん熱心に耳を傾けていました。
最先端の遺伝子研究を進める一方で、常に「目の前にいる子どもたちとそのご家族」を一
番に想い、日々の生活に寄り添った医療を大切にされています。
お話の締めくくりには、心強いメッセージをいただきました。
「長年の研究が実を結び、ASの正体が少しずつ解明されてきました。それに伴い、新し
い治療法の開発も着実に前進しています。ASは今、神経発達症の中でも世界で最も治療
研究が進んでいる疾患のひとつです。」
という力強いお言葉に、会場全体が希望に包まれました。
同時に、さらなる一歩を踏み出すためには、これからも継続的な研究が必要であり、私た
ち「エンジェルの会」との絆が何よりの力になる、との言葉をいただきました。
講演後の質疑応答では、てんかんや排泄の悩みなど、日々の生活の中での切実な質問が
次々と寄せられましたが、先生はその一つひとつに優しく丁寧に答えてくださいました。
(時間が足りず、もっと時間を確保しておけばよかったと後悔)
夜は『博多萬漁箱』にて齋藤先生を囲んでの食事会を開催し、またそこで有意義で楽しい
時間を過ごすことができ、非常に貴重な時間となりました。
最後になりますが、当日は不慣れな点もあり、お忙しい中ご講演いただいた齋藤先生、そ
して遠方から足を運んで下さったご家族の皆様には、多々ご不便をおかけしたことと思い
ます。幹事の安藤さんご夫婦の力を借り、皆様の温かいご理解とご協力のおかげで大変み
のりある勉強会となりました。この場を借りて心より感謝申し上げます。
そして、2026年9月にはアジアで初めてとなる「第9回ASA学術会議」がその家族会主催
にて京都で開催されます。
「京都から世界へ翼を広げて」というテーマのもと、世界中の最新情報が集まり、家族と
専門家が一つになれる貴重な機会です。
この大きな目標に向けて、これからもみんなで手を取り合い、一歩ずつ歩んでいきましょう!
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